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2026年8月3日

【報告】2026度定例勉強会2「評価から考える構造化」黒田美保先生

【報告】2026度定例勉強会2

令和882日、田園調布学園大学教授であり、TEACCHプログラム研究会常任理事でもあります、黒田先生を講師にお迎えし、

「評価から考える構造化~多様性のあるASD当事者のバリアフリーについて~」

をテーマとした定例勉強会を開催しました。

定例勉強会では、ASD(自閉スペクトラム症)のある方への支援に欠かせない「構造化」について、アセスメントとの関連を中心に学びました。講義とグループワークを通して、一人ひとりの特性に応じた支援を考える視点を深める機会となりました。

 

午前の講義では、ASDの認知特性を踏まえた構造化支援の基本的な考え方について学びました。

構造化は単に環境を整えることではなく、「見通しを持つことが難しい」「言葉よりも視覚的な情報の方が理解しやすい」といった特性を補い、不安や混乱を軽減しながら、自立を支えるための支援であることを理解しました。

また、構造化の4つの要素である「物理的構造化」「スケジュール」「ワークシステム」「視覚的支援」について、それぞれの役割や具体的な実践方法を学びました。

特に、構造化には決まった正解があるわけではなく、本人の認知特性や学習スタイル、興味・関心、発達段階などを丁寧にアセスメントした上で、一人ひとりに合わせて支援を組み立てることの重要性が強調されました。

 

午後のグループワークでは、架空事例のアセスメント結果をもとに、具体的な構造化支援を検討しました。

参加者はグループごとに、スケジュールの提示方法や設置場所、活動終了後の処理方法、ワークシステムの構成、自立課題の内容などについて話し合い、それぞれの支援案を作成しました。

検討では、架空事例の対象者は「数字が好き」「電車への興味が強い」といった強みを活かしながら、写真やイラストを用いた視覚支援、ポケットマッチングによる活動の整理、電車を活用した予定変更の伝え方など、多くの実践的なアイデアが共有されました。

また、「変更」「追加」「中止」といった予定の変化にも対応できるよう支援を工夫することで、構造化の目的は単にルールを守ることではなく、自立と柔軟性の両立を支えることにあると学びました。

 

今回の研修を通して、構造化支援は決められた方法を当てはめるものではなく、アセスメントを基に本人の特性や強み、理解しやすい方法を把握し、一人ひとりに合わせて支援を組み立てることが重要であると学びました。

また、安心して活動できる環境を整えることが、自立した行動や主体的な活動につながることを改めて認識しました。

今回得た学びを今後の支援に活かし、利用者一人ひとりに寄り添った支援の実践につなげていきたいと思います。

最後に、ご多忙の中、豊富な実践経験と最新の知見を交えながらご講義いただいた黒田先生に心より感謝申し上げます。

また、積極的に討議や演習に参加してくださった皆さまにも御礼申し上げます。

今回の学びを今後の支援に活かし、より良い支援の実践につなげてまいります。




2026年5月20日

【報告】2026年度定例勉強会1「評価から考えるASDの支援」

 【2026年度第1回定例勉強会報告】

 気持ち良い青空が広がった5月10日、2026年度最初の定例勉強会「評価から考える自閉症の支援」が、銀座の東京都中小企業会館にて行われました。
 講師は自閉症スペクトラムを持つ方々への支援を長きにわたり続けられている、よこはま発達クリニック副院長であり、TEACCHプログラム研究会東京部の代表でもある宇野洋太先生です。
 午前中に、ASDを持つ人々の情報の受け取り方や捉え方(脳機能のシステムや働き方の違い)について、またその結果、どういった行動がみられやすいかについて学びました。
 午後はその講義をベースに、その表面に見えている行動には、どんな背景要因が考えられるのかを丁寧に考える練習を少人数のグループワークで実践しました。
 毎年、定例勉強会として同じテーマを学びますが、今回も気づきがありました。いつも使用している聞き慣れた言葉、例えば「構造化された環境」というのは、単にパーテーションやスケジュールを作るということではなく、「ASDをお持ちのそのご本人にとって、情報をわかりやすく受け取る環境のこと」だということや、「知識として知っているということは、かならずしも理解していることにはならず、その知識を自分のものとして実際の支援に使うことができて、初めて理解していることになる」という宇野先生のお言葉がとても印象に残り、自閉症の方々への支援をなんとなくわかったつもりになっていたなと自身を振り返って考える機会となりました。また、「相手に何かを届ける時には、相手の受け取りやすい方法や受け取りたい中身を考える。ASDの方に何かを伝える時も同じで、その方にとって伝わりやすい方法は何か、知りたい内容は何かを考える。その方がどんな方かを知ることに加えて、自閉症の方々は自閉症の方々らしい特性があるので、我々はその特性を学び、特性から考えることが大切」という宇野先生のお話に、支援とは何か、その深さと意味を今も改めて考え続けています。
 体験談など、実例を交えた宇野先生のお話はわかりやすく、終了後のアンケートでも「問題行動に対するアセスメント、イマジネーションに対する支援の視点・注意点など、わかっているようでわかっていないことが、演習を通じて再認識できました」「自閉症を理解するということはどういうことなのか、改めて学習できました」などの感想をいただきました。
 参加された皆さま、宇野先生、ありがとうございました。



2026年3月30日

【報告】3/20特別講演会・総会のご報告

 3月20日(祝金)、きゅりあんにて2026年度特別講演会が開催されました。

弁護士である山田恵太先生による「司法の視点からみる障害のある人の権利と支援:トラブルが起きた時にできること」という演題で行われました。

先生は大学では心理学を専門にされ、特別支援を学んできた上で弁護士資格を取得されたということをお聞きして堅苦しい(?)法曹関係者ではないんだなと感じられ、まずは親近感を持つことができました。

先生は、「トラ弁ネット」「東京TSネット」にて障害のある人への権利擁護に積極的に取り組まれています。当日は、罪に問われた障害のある人の支援を行っていらっしゃる中で遭遇した、色々な事例(架空)を通して、「犯罪」は時代・文化によっても変わるもの、障害のある人が巻き込まれることが多いが、障害が直接の原因では無く、障害があるゆえでの生きづらさを抱え、犯罪行為に至らざるをえないような心理的・環境的な要因があることを説明して下さいました。それ故に、更生するにはその方がその人らしい生活を送れるように生活環境や関係性、必要な支援を具体的に提案できる方々と繋がることが必要であるとお話して下さいました。

お金等のトラブルに関する事、成年後見制度の事など幼児、学齢期の支援者にとっては日常の業務とはあまり縁が無いことだけれども大切なこと、知りたいことを法律的に説明していただいて、大変充実した学びとなりました。

最後に、お話とは直接関係が無いのですがmentimeterというツールを使用して講演参加者の意見がすぐ目の前で反映されて積極的に能動的に参加できたことが印象的な講演となったことを報告します。

山田先生、ありがとうございました。

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【事務局より】

同日、東京支部総会が行われました。すべての議事が承認され、滞りなく終了しましたことをご報告します。



2025年12月20日

【報告】2025年度定例勉強会5「コミュニケーション」

 【報告】

2025年11月29日(土)、品川区立総合区民館きゅりあんにて、今年度最後の勉強会となる、定例勉強会5「ASDのある方のコミュニケーション」を開催しました。
午前は川崎医療大学の諏訪先生による講義動画「自閉症のコミュニケーション」を視聴し、午後は東京家政大学の新井豊吉先生をお招きしてワークを行いました。
諏訪先生の講義では、「育てたいのは、言葉ではなく、相手を意識したやりとり」だという前提のもと、ASDの文化から考え、学習スタイルの強みをいかして練習していくことが大切だということ、そのためのアセスメントやそれをもとにした目標設定、教える手順を学びました。動画視聴のあとにはグループで感想を共有しあい、盛り上がりました。
午後の新井先生のワークでは、氷山モデルを用いて事例についてのグループワークを行いました。少人数のグループで、動画の事例について話し合い、なぜその行動が起きているのか考え、その人の長所をたくさんあげてそれを利用し、支援方法を考えました。各グループで活発な意見が出されました。その方の長所から支援方法を考えるという方法は、午前の諏訪先生の講義と共通していました。1時間強の話し合いの時間が足りなく感じられるほど活発な話し合いが行われていました。
参加された方々からのアンケートをいくつか紹介させていただきます。アンケートにご協力ありがとうございました。
・いろいろな業種の方とお話できたのが有意義でした。
・他施設の方と一緒に支援方法を作成することで、終わることにはすっかり一体感がもてました。
参加された皆様、講師の諏訪先生、新井先生どうもありがとうございました。
 今回、資料の配信に不備があり、事前に資料を送付できなかった方が一部いらっしゃいました。ご迷惑をおかけして大変申し訳ありませんでした。また、今回のアンケートで運営やグループワークの進め方についてのご意見もいただきました。今後の運営で改善できるよう努めてまいります。
今年度の東京支部単独での勉強会は今回が最後となりますが、東京支部では3月の講演会をはじめとする次年度の計画を作成しています。
詳細が決まりましたらHPやSNS、メールマガジンにてお知らせします。



2025年8月13日

【報告】定例勉強会3「アセスメント情報をもとに構造化を考えよう」

 【報告】

定例勉強会3「アセスメント情報をもとに構造化を考えよう」報告
8月2日(土)に、きゅりあん(品川区立総合区民会館)6階 大会議室にて、加藤健生先生を講師に、定例勉強会を開催しました。
今年度の東京支部の定例勉強会は、昨年度TEACCHプログラム研究会本部が企画した基礎講座の動画と支部で企画したワークショップを組み合わせ、設定したテーマについて学びを深めるという構成になっています。
 第3回目の今回は「アセスメント情報をもとに構造化を考えよう」というテーマでした。午前中は会場での動画視聴、午後は個人ワークと近くの人との意見交換という二部構成で開催しました。
 午前は黒田美保先生による講義動画「構造化1:スケジュール・物理的整理統合 般化と柔軟性」と、諏訪利明先生による講義動画「構造化2:ワークシステム・マテリアルストラクチャー」の2本の動画を視聴しました。その後の質問・感想の共有の時間は、受講者それぞれの職場や立場ならではの、かつ全員があるあると頷くような質問と、現場をよく知る加藤先生からの温かいコメントで盛り上がりました。
 午後は加藤先生による動画の振り返り講義を短時間行いました。その後、事例のアセスメント情報をもとに、午前中に学んだ構造化を使ってその方の課題をいくつか計画するという個別ワークを実施しました。
特に、コミュニケーションサンプルに基づいてその方の目標を設定し、課題場面に人とコミュニケーションを取る場面をどう組み込むか考えるという考え甲斐のあるワークでは、受講者の皆さんが楽しそうに頭をひねっている様子が印象的でした。近くの人との意見交換の時間も、スタートの声がかかるなり活発に話し合いが行われ、先生が終わりと声をかけたあともしばらく話が尽きないほどでした。
 アンケートに沢山のご回答を頂きました。ご協力頂いた皆様ありがとうございました。以下いくつかをご紹介します。
午前【動画視聴】
・前もって資料を確認することができ、動画を見ながら記入もでき助かりました。Teacch初心者ですので聞きなれない言葉などありましたが、今後理解していき役立てることができるようになりたいと思います。
・今回の講義を受けて、構造化は自閉症の学習スタイルと本人のアセスメントの情報があって初めて取り組める事だと感じた。
午後【ワーク】
・ご本人の好きなものを、大切にして、アプローチをしていくことの大切さを感じた。また、ご本人から発信を促すような働きかけについて、あまり意識できていなかったことに気づいた。重度の方とかかわることが多いため、その視点も今後意識していきたい。
・楽しい上に深く学べました。月曜日から今日の気持ちを持って試みたいです。
・加藤先生のお話がとてもわかりやすく、支援者の立場に寄り添って進めて頂き、とても嬉しかったですし、ワークもすごく面白かったです!本当に有り難うございました。
TEACCHの考え方に触れて間もない方から既に現場に取り入れて実践されている方まで、幅広くご参加頂きました。また、福祉領域の方を主としつつも、教育現場や当事者・ご家族の方まで、様々なお立場の方が一堂に会して意見を交える貴重な場となっていることもアンケートからうかがえました。
加藤先生、ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。



2025年7月7日

【報告】2025定例勉強会2「TEACCHアプローチにおけるアセスメントの実際:個別性を支える支援計画のために」


 6月29日(日)きゅりあん(品川区立総合区民会館)6階 大会議室にて表題の勉強会を開催しました。今年度の東京支部の定例勉強会は、昨年度TEACCHプログラム研究会本部が企画した基礎講座の動画と支部で企画したワークショップを組み合わせ、設定したテーマについて学びを深めるという構成になっています。

 第ニ回目の今回は、「TEACCHアプローチにおけるアセスメントの実際:個別性を支える支援計画のために」というテーマで、午前中に会場で動画を視聴し、午後は個人ワークにてワークを行いました。
 午前は田園調布学園大学教授であり、TEACCHプログラム研究会常任理事でもあります。黒田美保先生による動画「TEACCHのアセスメントについて」を視聴し受講者による意見交換をおこないました。
 午後からは黒田先生を会場にお招きし午前の動画を振り返りながら、個別の事例動画を視聴し行動をアセスメントして、課題分析表を基に構造化のアイディア、再構造化のアイディアを考える個人ワークで行い、最後はグループワークで様々な考えを共有し学びを深めるという事を行ないました。
 参加者の皆様は様々な視点から、とても活発な意見交換が終始行われていて気付けば、あっという間の一日でした。

 定例勉強会終了後のアンケートからは、
「実際の動画を見て個人ワークからの意見交換がとても面白かったです!黒田先生のご説明もとても聴きやすく、わかりやすかったです!」
「課題分析にて映像を見ながら演習を行うことで、どのような点に気をつけながらアセスメントを行えばいいか、理解しながら出来てとてもよかったです」といった意見から
「ワークショップの開催はありがたいです」といった意見も頂き、参加者の殆どが「大変満足」「満足」と回答されていました。

黒田先生、ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。





2025年5月22日

【報告】定例勉強会1「ASDの特性と学習スタイル」

511日(日)、水道橋の全水道会館にて表題の勉強会を開催しました。今年度の東京支部の定例勉強会は、昨年度TEACCHプログラム研究会本部が企画した基礎講座の動画と支部で企画したワークショップを組み合わせ、設定したテーマについて学びを深めるという構成になっています。

第一回目の今回は、「ASDの特性と学習スタイル」というテーマで、午前中に会場で動画を視聴し、午後はグループに分かれてワークを行いました。動画は、TEACCHプログラム研究会会長・よこはま発達クリニックの院長である内山登紀夫先生のご講義で、TEACCHの成り立ちやミッション、コアバリューに始まり、学習スタイルの5つの項目(暗黙的な学習、聴覚情報の処理、注意、実行機能、社会性の認知)について、ASDの方がどんな苦手さや困難を抱えているか、そして、支援者がそれをどのように支えて補えばよいのか、具体的な例が挙げられていました。また、英国のASDの注意についての理論である、「モノトロピズム」や「アテンショントンネル」、「自閉的慣性」についてのお話も紹介され、ASDに特有の視野の狭さや切替えの苦手さ、ミスや中断に対する耐性の乏しさと介入に対する苦痛の感じやすさなどは、「良い・悪い」という捉え方ではなく「違い」として理解すること、そしてそれは、強みを活かし、困難をサポートするというニューロダイバーシティーの視点につながっていくことなど、とてもわかりやすく説明されていました。

 

午後は、よこはま発達クリニックの副院長であり、東京支部の代表である宇野洋太先生のワークでした。冒頭で、認知の特徴としての学習スタイルが、行動の特徴(特性)としてどのように現れるかについての講義があり、ウォーミングアップとして、様々な行動の例文を基に、その行動にどのような特性が影響しているのかをグループで意見交換していく、宇野先生おなじみの「千本ノック」のワークに取組みました。

その後は架空事例を用いて、氷山モデルのワークシートで行動の背景や改善案を話し合いました。このワークのポイントとして、ある特性だけで行動を捉えて性急に改善策や支援を当て込むのではなく、様々な特性から多面的に丁寧に行動を捉えていくことが重要であり、それによってその人に対する理解が立体的になり、どのような支援が必要なのか優先順位なども明らかになるため、支援者の視点が深まり課題が整理される、とのことでした。各グループごとに割り当てられた架空事例の行動に関して、様々な視点からとても活発にディスカッションが行われ、あっという間に二時間半が終了しました。

終了後のアンケートからは「一つひとつ整理することが大事だと感じた」、「自分と異なる他の方の意見をたくさん聞くことができて視野が広がった」などのご意見をたくさん頂き、参加者の方の多くが「大変満足」と回答されていました。宇野先生、ご参加頂いたみなさま、ありがとうございました。 

次回の定例勉強会②は、6月29日(日)、テーマは「アセスメント」です。みなさまのご参加をお待ちしております。 

 https://2025teirei2.peatix.com/

(担当:御木)

2025年4月6日

【報告】特別講演会 西尾大輔先生・2025年度総会

 



【報告】西尾大輔先生講演会・2025年度総会

2025年3月30日(日)、全水道会館にて、2025年度特別講演会を行いました。厚生労働 社会・援護局 障害福祉部 障害福祉課発達障害対策専門官の西尾大輔先生をお招きして「自閉症のある方の支援を改めて考える」という演目でお話をしていただきました。
 東京支部の特別講演会では、昨年、一昨年と、TEACCH以外の専門家の先生をお招きし、貴重な学びの機会を得ました。2025年度は、また新たにTEACCHの原点に戻ってTEACCH®公認上級コンサルタントの資格をお持ちの西尾先生にお話を伺いました。
 まずは先生が取り組んできた中でのビデオや写真をたくさん使用して児童期から成人期の実践を紹介していただきました。就労にとって大切なこと、気持ちの勉強、不登校支援などなど、支援の対象の年齢がそれぞれでもその時期に大切にしなくてはならないことを繋げて考えることができました。
 また、エビデンス・べースド・プラクティスのクオリティを守るためにTEACCHの認証制度があること、その資格をどのようにとっていくかにも触れていただきました。
 TEACCHの方略からの自閉症支援としてまずは対象の方の学習スタイルを把握するためにアセスメントを行ってゴールを設定、教える方略として視覚的構造化等を使用して関わって行くことなどを貴重な写真などを見ながら説明していただきました。
 お立場として根拠となる法律からそれに基づく日本における標準的な自閉症支援、国の施策などをお話ししていただき2時間半の中でかなり盛りだくさんのお話を伺いました。
 国の発達障害対策専門官であるとともに、素晴らしい支援の実践者でもある西尾先生が、国の自閉症支援をよりよい方向に導いて下さるのではと大きく期待を持つと同時に、明日からの業務に役立つヒントをたくさん得られた講演会でした。
 西尾先生、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
 なお、同日行われた、TEACCH研東京支部2025年度総会につきまして、全ての議題が承認されましたことを併せてご報告いたします。

2024年12月16日

【報告】 定例勉強会4「構造化」縄岡好晴先生

 【報告】 定例勉強会4「構造化」縄岡好晴先生


127日、銀座の中小企業会館にて、明星大学人文学部准教授の縄岡好晴先生をお招きし、定例勉強会4「環境を整えることの大切さー構造化のアイデアをヒントに考える」を開催しました。 

午前中の講義では、「認知や発達や行動のアセスメント」「行動問題のアセスメント」「適応行動が出やすい環境のアセスメント」というアセスメントの3つの視点をお話いただき、3つめの「適応行動が出やすい環境のアセスメント」をもとに、どんな環境、設定、関わり方なら本来持っている力を引き出せるか、構造化について詳しく学ぶことができました。問題が起こったときだけでなく、支援がうまくいった場合はプロセスを考える良い機会であること、どうしても改善されない行動が生じた場合は、余暇支援を充実させると突破口が開けることがあることなど、大切な視点もお話いただきました。 

午後の講義は「環境を整えることの大切さ~構造化のアイデアをヒントに考える」をテーマに、インフォーマルアセスメントの質の向上を目的としたワークを行いました。架空事例をもとに、その行動がどの学習スタイルからくるものなのか、また、具体的な構造化やワークシステムを考え、話し合うことで、実際の支援をイメージしながら理解を深めることができました。講師の縄岡先生の丁寧なご助言と、参加者のみなさんの熱意により、どのグループでも意見交換が盛り上がっていたのが印象的でした。 

終了後、参加者の方々からご感想をいただきましたので、この場でいくつか紹介いたします。

構造化についてよくわかりました。般化や柔軟性の獲得などは自閉症支援のなかでこれまで欠けていた視点なので勉強になりました。

柔軟性と般化を目指しつつ、まずは利用者のアセスメントからしっかりと、根拠に基づき支援を進めていきたいと改めて感じました。

課題行動に焦点を当てて、急いで支援を組み立ててしまいがちなことがありますが、特に学習スタイルの理解やアセスメントの大切さを改めて学ぶことができました。 また、TTAPや般化などについても丁寧に解説していただき、ワードとしては聞いたことがあっても、あまり内容を理解ができていなかったトピックに関しても情報を得ることができました。

 

他にも多数、「明日からの現場の支援に活かしたい」などの感想や気づきをいただいております。

縄岡先生、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

2024年9月11日

【報告】定例勉強会3「幼児期のコミュニケーションの育て方~アセスメントと支援~」 

 【定例勉強会③のご報告】

 91日、水道橋の全水道会館にて、田園調布学園大学人間科学部心理学科の黒田美保先生を講師にお招きし、定例勉強会③「幼児期のコミュニケーションの育て方~アセスメントと支援~」を開催しました。

台風10号の接近中ということもあり、お天気や交通機関の状況が気になる中での開催でしたが、熱心な参加者の方々にお集まり頂き、無事に実施することができました。

 自閉スペクトラム症の幼児への早期支援は、社会性の発達の促進や二次障害の予防、社会適応の改善からのQOL向上、セルフアドボカシ―につながり、結果としてご家族の心理的負担軽減、メンタルヘルスの向上にも大きく関与することが多くの研究から明らかになっているとのことです。また、社会性を育むためには、幼児期の遊びの中での共同注意・要求・情緒的相互性、アイコンタクト、模倣やふり遊びに着目しながら支援を組み立てることが重要であり、特に共同注意の成立は幼児期以降の言葉の発達にもつながっていく、ということでした。 

午前の講義では、早期支援方法の「PRTⓇ」や「DTT」、「ESDM」、「JASPER」についての紹介や違いが取り上げられ、特に黒田先生が翻訳に携わっていらっしゃる「JASPER」については、手法に加え、その中で開発されたアセスメント方法「SPACE」について詳しくご講義頂きました。また、講義の終盤には架空事例を用いて、ワークシートの記入例を基にしながら、目標の選定や支援方法について確認しました。 

午後は、実際に「SPACE」を用いたアセスメントの様子の動画を観ながら、午前で紹介されたワークシートを用いて、個人で行動の特徴を整理しました。その後、近くの席の方と二人一組になり、意見交換しながら目標の選定や具体的な支援を考えました。さらにそこから、別のワークシートを用いて本人のスキルや興味関心にあった基盤の遊びを取り上げ、社会性を引き出すためにその遊びをどのように発展させるかを話し合い、いくつかのグループに発表して頂きました。

 講義の中では、観ていると思わず笑顔になってしまうような、かわいらしいお子さんのセッション動画がたくさん紹介されており、セッションを重ねていく中で、お子さんが変化していく様子がしっかり確認できました。黒田先生のお話しやワークを通じて、注目すべき行動のポイントや、支援についての考え方を知り、その子どもの好きなことや特性を尊重しながら、さりげなく自然な形で社会性やコミュニケーションを育んでいくことの大切さを学ぶことができました。

 終了後、参加者の方々からご感想を頂きましたので、この場でいくつかご紹介いたします。

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「訪問セラピーの中でDTTを中心にお子さんと遊ぶ時間もあり、なるべくPRTのような形でセラピーを進められないか考えていましたが、なかなか遊びが広げにくく苦戦しておりました。今日のSPACEのアセスメントは大変勉強になりました」

「言葉を獲得する前の段階で、遊びが大切だということを知ることができて、大変良かったです」

「曖昧になりやすい社会性の育ちを捉える視点を学ぶことができました」

「保育現場で活かせることがたくさんありました。自分の中で整理して実践してみたいと思います」

JASPERの勉強会があまりないため、貴重なお話しを伺うことができ、大変勉強になりました。ビデオを見ながら先生がわかりやすく解説して下さったので、理解が深まりました。」

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他にも多数、「明日から現場に活かしたい」、「あまりないテーマで学びを得ることができた」、などのご感想や気づきを頂いております。

黒田先生、ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。

 

次回の定例勉強会④は127日です。またのご参加お待ちしております。




 

 

2024年8月12日

【報告】定例勉強会2「ASD者の就労の課題と支援―BWAP2アセスメントに基づいた就労支援―」

 【報告】TEACCH研東京支部2024年度定例勉強会② 「ASD者の就労の課題と支援―BWAP2アセスメントに基づいた就労支援―」

7月27日(土)梅永雄二先生、髙橋幾先生をお迎えし、定例勉強会2を行いました。
 発達障害の人の就労支援の現状と課題、社会自立における問題点、米国の現状等をお話いただきました。
 現在、知的障害のない精神障害者保健福祉手帳を取得した発達障害者の就労率は増加しており、特性を理解した就労支援が急務です。
 発達障害の人の離職理由として、仕事そのもののスキルではなく、90%以上がソフトスキル(仕事以外の対人関係や職場のルールやマナー、余暇、金銭管理等)のトラブルによるもので、きちんとアセスメントして支援をしないと定着できないことと教わりました。 職業生活遂行能力であるソフトスキルは、学校や家庭で小さい時から身に着けておくべきライフスキルの延長線上に位置するもので、支援者は、本人のニーズや職業をよく知ること、新しい発想でサポートをしていく必要があります。発達障害の中でもASD(自閉症スペクトラム症)を主なターゲットとして就労支援を進めることが重要です。ポイントとしては、社会性の面で発達が遅れているということ、実行機能の弱さ(仕事を始める能力、計画を立てる能力、優先順位をつける能力)があること、感覚刺激への対応です。そこでソフトスキルの項目が多数導入されているBWAP2を活用して、就労のために必要なスキルのアセスメントを行うことが有効です。4つの領域からなり、1仕事の習慣・態度、2対人関係、3認知スキル、4仕事の遂行能力で5段階の評価基準で実施します。評価基準の中に芽生え(低)(高)があり、支援の目標を立てることにつながります。また、合格は本人の強みで推薦できるスキルが明確になります。
 午後は、実際に映像を見ながらBWAP2のアセスメントを行いました。その中で、評価者によって異なる評価となった場合、大切なのは、支援者同士が共有し支援の目標をたて、支援につなげることです。生活上何が困っていて、どのような支援が必要かを整理すること、できないところは、人の援助を受ける、相談するスキルを教えることが大切です。また、就労支援においては、ASD者が働く職場をどのように変えていくか発想の転換も必要で、職種のマッチング、職場の物理的構造化、同僚上司の理解啓発、ソフト(ライフ)スキル支援についてアセスメントをもとに個々に応じたサポートを続けることが定着につながります。
 今回の勉強会で、より具体的で適切な支援をするためのアセスメントであること、ASDの方への支援には、構造化のアイディアが不可欠なことを学びました。また、本人を知る人であれば誰でも簡単にアセスメントができるBWAP2の魅力も知ることができました。参加した皆さんもすぐに支援に役立てていただけると思います。
参加者感想を一部ご紹介します。
*BWAP2について初めての研修会でしたが、講師の先生方の話がわかりやすく、しかも面白くてどんどん引き込まれていきました。 実際に映像を見てチェックを付けていく活動では、近くの方々と自分の評価の違いに戸惑いましたが、違っていてもよく、どうしてその評価をしたか話し合えた点がとても良いと感じ、職場で利用してみたいと感じました。
帰りに早速梅永先生の本を購入したので、今後も勉強をしていきたいと思います。
*ソフトスキルを図るアセスメントをとることで、利用者の状態の理解、共有が測れる。
また誰でも簡単にアセスメントが取れること。
本人とフィードバックした時に提示出来るので、明確な資料になり、本人や支援者、関係者の意識のギャップを埋めるのに効果的だと感じた。
講義でもあったが、アセスメントをとった後、意見が違う部分のすり合わせをしていくこと、事業所単位で基準を設けることが大切だと感じた。
*改めてASDの人が生活を送る上で何が困難になるのかを整理して頂きました。梅永先生や高橋先生のお立場から、就労支援の事例が中心ではありましたが、「生活者」として躓く点が「ライフスキル」であり結果として就労にも大きくそのことが影響を及ぼす結果となることが大変分かりやすかったです。
「アセスメントはどこに支援のニードがあるか、何を支援するのか理解する為にある」というご趣旨も大変印象に残りました。
*支援を行うには、アセスメントが重要であることを再認識しました。BWAP2は、簡便にアセスメントできるところが魅力的ですが、アセスメントから支援を行う際に、専門的な知識が必要になるため、自己研鑽していくことも重要であると思いました。
午後の事例紹介を含め、貴重な講演会をありがとうございました。
*当事者の方をよく知っている方であれば誰でも短時間で取ることができるというのがとても魅力に感じました。今後就労選択支援が始まる際にも役立てられるかと思いますし、支援に取り入れていきたいと思います。
講師の先生方、参加者の皆様、猛暑の中長時間にわたり誠にありがとうございました!



2024年6月25日

【報告】2024年度定例勉強会①「ASD(自閉症スペクトラム)の特性理解」宇野洋太先生


622日(日)にオンラインにて、今年度最初の定例勉強会とワークショップを開催しました。

長く自閉症スペクトラムの方への支援・研究を続けていらっしゃり、現在TEACCH研究会東京支部の会長でもある、よこはま発達クリニック副院長 宇野洋太先生を2年ぶりに講師にお招きしました。

 オンラインで、後日配信つきの形式ということもあり、全国から170名近くのお申し込みをいただきました。(現在後日配信を行っています(~77日配信終了)

 午前(9:3012:00)の講義は、自閉症スペクトラムの脳と定型発達の脳に質的な違いがあることについて、「リンゴとバナナの共通点は?」という問いに対する答え方の違いを例にとってのお話しからスタートしました。認知特性自体は多数派か少数派かという違いであってそれ自体が障害ではないこと。ASC(自閉症スペクトラムコンディション)という概念も提唱されているということ。さらに、ニューロダイバーシティという近年取り上げられてきた概念についても取り上げられ、そこから自閉症スペクトラムの人の認知特性について一つ一つご説明いただきました。本人が自立して活動・行動できるように、ASDフレンドリーな環境を作ることが必要であること、お会いするASDの方がその人らしくハッピーに暮らしていけるように、背後から黒子のように支えるのが支援者・専門家としての役割で、そのために学び続けたいというお話で講義が締めくくられました。先生の自閉症スペクトラムの人への愛にあふれたお言葉に、自分の支援している方々の顔を思い浮かべ、その方たちの為に学びの足を止めないようにしなくてはと、ついつい怠けてしまう自分に喝を入れていただいた気持ちになりました。

午後(13:3015:30)は、「特性1000本ノック」と、氷山モデルを使ったワークの二本立てでした。ZOOMのブレイクアウトルームを使ってのグループワークで、画面越しの限られた時間の中でしたが、様々な年齢やお立場やご経験を持つ参加者から積極的な意見が交わされました。
 「特性1000本ノック」では、自閉症スペクトラムの方の様々な行動の裏側にはどんな特性が関係しているのかをグループで検討しました。多くの方にとってすぐに理解しにくい「社会的想像力」が、どのような形で行動に現れるのか考えることに重点が置かれたワークでした。行動だけ見ると様々でも、背景には同一の特性があり、特性に基づかない表面的な対応では当事者の支援にはならないという先生のお話しが印象的でした。「同じ質問ばかりする」「新しい作業を嫌がる」など、支援現場でよく見られる行動がピックアップされていたので、現在支援している方のお顔が浮かんだ参加者も多かったのではないでしょうか。
 氷山モデルを使ったワークでは、架空事例をもとに、その行動の背景は何か、そこからどんな改善方法・工夫が考えられるかをメンバーで話し合いました。「問題行動」の背景には何があるのか、特性・環境面から皆でたくさんの仮説を立て、それに基づいて改善策・対応策を考えるという、明日から現場で生かせるワークでした。 

今回も参加者の皆さまから、多くの感想を頂きましたので、アンケートの中から一部ご紹介致します。たくさんのご意見をありがとうございました。

「講義」アンケートより
・自閉症のある方を理解する根本を見直すよい機会となりました。
・久しぶりに宇野先生のお話を伺うことができ、改めて自閉症スペクトラムの特性理解をしなくては、と思いました。支援のためには理解が必要だと普段から思ってはいても、お話を伺うと「そうだった!」と気づかされることが多く、くり返し学ぶことの大切さを感じました。
ASDの特性を理解することはどういうことなのか学ぶことができました。行動を制限してしまうことがあったことを思い出し、本人にとって負荷のかかる支援をしてしまっていたことを反省しました。 今回の講義を通して、ASDの方一人ひとりの特性をアセスメントし、それによって環境を整え、本人たちがより適切な行動をおこせるように寄り添っていく姿勢を改めて意識することができました。

「ワーク」アンケートより
初参加でとても緊張していましたが、様々な立場の方と交流しお話しすることができ、よかったです。また、講義もとても理解しやすかったです。
1人の意見だと視野が狭くなるので,全く違う事業所の意見を聞くことで改めて情報を収集して的確に判断することや、チームで支援をすることが大切だと感じました。

宇野先生、ご参加の皆さま、ありがとうございました。

【勉強会担当】

2024年4月26日

【報告】定期総会&特別講演会『自閉スペクトラム症の行動面の課題についての理解と対応』

 【報告】2024年度定期総会&特別講演会『自閉スペクトラム症の行動面の課題についての理解と対応』

3月17日(日)に、大田区の入新井大集会室にて特別講演会と定期総会を開催しました。コロナが5類になったことで昨年に引き続き対面で開催されました。
 講演会の講師は鳥取大学大学院医学系研究科 臨床心理学講座 教授でいらっしゃる井上雅彦先生で「自閉スぺクトラム症の行動面の課題についての理解と対応」ついてというテーマでお話していただきました。
 先生の豊富なご経験の中から沢山の事例を出していただいて自分が関わっているケースと照らし合わせながら「あるある」と思い浮かべながらお話を伺うことができました。
 自傷行動や攻撃・破壊行動、常同行動などいわゆる問題行動と呼ばれているものは環境との不適合から生じていて本人の行動やニーズの現れであること、支援者はまずどうしてその行動が生じているのかを理解すること、そしてそれに対応するには苦手な刺激を最小限少なくして視覚化や構造化を使用して環境を整えたうえでその行動に代わる適応的な行動を本人に合わせて提案していくことであるとお話されていました。
 良かれと思って当事者にとって不適切な関わりをしないように改めて戒める機会にもなりました。
 質疑応答の時間が無くなるほどの熱心の入ったお話で翌日からの臨床に元気をいただくことができました。ありがとうございました。
同日、定期総会も開催され、すべての議事が無事承認されましたことをご報告します。



2024年1月3日

【報告】2023年度定例勉強会4「コミュニケーションー今、この時の「わかる」「伝わる」を大切にー」

 

 1217日(日)、よこはま発達相談室/クリニックの飯塚直美先生をお迎えし<今、この時の「わかる」「伝わる」を大切に>と題した2023年度最後の定例勉強会4コミュニケーションを開催しました。午前中は、有意義な=意味のあるコミュニケーションは、ご本人をはじめ、ご家族の穏やかな暮らしにつながること、またそういったコミュニケーションのために、構造化などその人の認知特性に合った基本的な支援に加え、ご本人への指導を含む、より良いコミュニケーション支援を実践することが大切というお話を伺いました。

 午後は、先生のセッションの様子を動画で見ながら個人ワークを行いました。おやつや切り替え、要求など様々な場面における先生やお子さんたちの表情や視線の方向などにも注目し、そこで見られた行動やことばを記録、それがどのようなコミュニケーションや支援方法につながっているかをご説明いただきました。会場のみでの開催ということで、午前も午後もたくさんの動画や写真を見ながらのお話で、「お子さんの表情や支援に対する反応がわかりやすかった」「自分の現場でのイメージを持ちやすかった」と大好評でした。

 

 個人的には、先生がセッションの中でされていた「次に何をすればいいのかをわかりやすく伝えること」「ご本人からの行動が出やすいような環境や工夫」「反応を待つ」ということを、私は実際に現場でどれだけ意識して実践いるだろうとはっとしました。なぜコミュニケーションを学ぶことが大切か?と聞かれれば、「コミュニケーションは相手と自分、双方のキャッチボールだから」という模範解答がすぐ思い浮かぶものの、先生のお話を聞いたりセッションのビデオを見ていると、実際には「自分の思いや指示を聞いてもらう、相手に理解してもらうためにはどうすればいいか?」の一方通行になっていることが多いのでは?と気づきました。

 終了後のアンケートにも「指導を振り返ることは大切」「どの場面、どの行動や言動にも意味があるとわかった」「待ったら自発の姿が見られるかもしれない場面でも、日常的に早めに声かけをしてしまっていると気づいた」などのご意見があり、この勉強会がコミュニケーション支援の方法を学ぶだけでなく、参加者ご自身の言動や行動を振り返る機会になった方も多かったようです。

 

 午前の講義の初めに「【今】が少しでも安心できる/快適な/自信がもてる/楽しい/満足できる時間になるよう支援し、穏やかで幸せな日々の暮らしや良き人生(長期的未来)へとつなげていきたい」というお話がありました。私は普段お子さんと接することが多いこともあり、つい先へ先へを考えた支援になってしまいがちです。【今、自分でわかる】の連続が幸せな将来につながっていくことを意識して、お子さんの【今】を一緒に考えていきたいと改めて思った勉強会になりました。

【担当T】

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飯塚先生、長時間にわたりありがとうございました!

2023年11月5日

【報告】2023年度定例勉強会2「構造化」

 2023年度定例勉強会2「構造化」 
 講師:安倍陽子先生


 2023年11月3日(金)全水道会館にて、「構造化ASDの人たちの特性理解から支援へ」~自己効力感・自尊感情を育む~を開催しました。
 講師は、現在横浜市東部地域療育センターに勤務され、日々、発達障害などASDのお子さんたちの療育やご家族の相談をされている安倍陽子先生でした。
 午前中は講義、午後はワークショップと、1日を通して構造化について、具体的でより実践的に、すぐに現場で役立つ内容を学ぶことができました。

 午前中の講義では、「構造化」の基本的なこと、ASDの人たちの学び方の違いについて、得意なことや苦手なこと、なぜ構造化するのか、具体的な例を挙げながらわかりやすく教えていただきました。支援にむけて何を教えるのか、指導領域や構造化のアイディア(物理的整理統合、スケジュール、ワークシステム、マテリアルストラクチャー)を丁寧にご説明いただきました。講義の後半には受講者の皆さんで教室のレイアウトを構造化の意味を考えながら検討する時間がありました。

 午前の講義の中で、構造化をすることは、自分で判断して行動できるようにするためであり、本人の強みを生かしながら学習スタイルや理解の度合いに合わせて行うことが大切であるということを改めて実感しました。スケジュールは、予定や変更を伝えるシステムであり、ASDの人に見通し、安心して活動できるようになるだけでなく、変化を伝えることで変化への耐性をつけ、柔軟性を養うことができる重要なシステムであることも教わりました。

 先生のお話の中で「ASDの人が混乱することは、できないのではなく、わからないことが多い、だから環境を整えて不確定、混乱させる要素を意味のある形にしていくこと、わかることで安心し、やることが明確になることで自ら行動でき、自信が持てるようになる、だから私たちは創造力を必要とする、工夫をしていかなきゃならない」とおっしゃった言葉に力をもらいました。

 午後のワークショップでは、架空事例から構造化ワークシートを活用し、物理的整理統合、スケジュール、ワークシステム、マテリアルストラクチャーの根拠(学習スタイルと個別のアセスメント)、現状の確認(観察と聞き取り)、構造化、発展(般化、柔軟性)のアイディアを先生からヒントをいただきながらまずは個人でシートを記入しました。その後3つのグループに分かれて構造化のワークシートと教室のレイアウトに構造化のアイディアを検討して記入しました。最後にグループごとに発表し先生からの助言を受けました。
 午後のワークショップは、3つのグループとも短い時間の中で構造化の基本的なことを検討しながら教室レイアウトを完成させました。各グループが架空事例から読み取った本人の特性や強味などから構造化に取り組み、スケジュールについては、形態(文字、写真、絵、シンボル等)、長さ、扱い方、開始の手がかり、設置場所など説明しました。ワークシステムについては、形態(色、文字、記号、絵)、組織化(左から右、上から下)、進捗状況の確認、終わり方、課題の場所、片付け場所を示しました。マテリアルストラクチャーについては、時間が足りない部分もありましたが、それぞれ工夫して課題を考え発表しました。その際、視覚的指示の形態や順序立て、注目注意を強める方法、情報と教材の整理統合の方法(かごに入れたままの課題なのか等)課題を考える上でのポイントを先生よりご助言いただきました。また、生活にいかに般化できるかを考えながら構造化を行い、本人の状況や理解の状況に合わせて再構造化していくことの大切さも学びました。ファシリテーターも含め全員が様々な視点に気付くことができ、活気あふれるよいワークになったと思います。

 安倍先生には、多くのマテリアルストラクチャーをご持参いただき、ご厚意に感謝いたします。アンケートからも「感激して涙が出た」「すぐに参考にしたい」など多くの感想が寄せられました。今回の勉強会は、安倍先生のお人柄とASDの方への支援をリアルに現場で生かせるようにしたいという熱意に心動かされる会となりました。
 
 ありがとうございました。



2023年9月18日

【報告】2023年度定例勉強会3「アセスメント」講師:佐々木康栄先生

【報告】2023年度定例勉強会3「ASDのアセスメント」
講師:佐々木康栄先生

 2023910()、「ASDのアセスメント」~多様性のある人たちのより良い生活に向けて~を開催しました。
 講師は、現在よこはま発達クリニックに勤務され、公認心理師・臨床心理士・精神保健福祉士の佐々木康栄先生でした。

午前中は講義、午後はワークショップという形で、1日かけてアセスメントについて学びました。

午前中は、ASDの方のアセスメントをするということはどのようなことか、アセスメントの種類や方法、アセスメントする際の観察のポイントなど、実際の事例を説明していただきながら教えていただき、とても分かりやすい内容でした。

冒頭で、先生は、「アセスメントを行うためには、よりよく知ること、目の前の人をよく見ること、見るためにはASDについての知識がないといけない。アセスメントするには知識が必要だが、知識だけでは、(講義を聞いただけでは)ダメで、知識で得たことを使ってみることが必要。」とおっしゃっていました。また、「根拠を持った支援を行うためにも、情報を集め解釈し、知識を支援に活かすようにしなければならない。」ともおっしゃっていて、支援を行う人は、学ぶことに終わりはなく、ずっとずっと学び続けていくのだということを改めて感じました。

午後は、実際の検査(PEP-3とTTAP)を行っている映像を見ながら、クライエントさんがどんな風に検査に取り組んでいるか、上手くいっている時と上手くいっていないときはどのような違いがあるかなど、個人ワークで考えつつ、後で詳しく説明していただきました。

ついつい、目の前の結果だけでアセスメントしたつもりになりますが、クライエントさんがその結果に行きついたのには、どのように考え、どのような方略を用いたのか等を考えることがアセスメントするのには重要であることが実感できました。

あっという間に時間が経過し、終了後は「もっと頑張ろう」と思えた研修会でした。

佐々木先生、素敵な研修会をありがとうございました。

当日研修会に参加できなかった方には、見逃し配信を行っております。もちろん、当日参加された方も、復習用として何度でもご覧になれます。視聴期限は101日までです。是非お見逃しなく!




2023年7月10日

【報告】6/18定例勉強会1「ASDの特性理解~ASDの世界へようこそ~」

 【報告】6/18定例勉強会1
「ASDの特性理解~ASDの世界へようこそ~」

  6月18日(日)に、きゅりあん6F大会議室(大井町駅)にて、諏訪利明先生を講師にお招きして、今年度最初の定例勉強会とワークショップを開催しました。

 前回、諏訪先生に講師をお願いした2020年7月はCOVID-19が大流行しており、TEACCH研究会東京支部初のオンライン開催となりましたので、今回先生に会場にお越しいただいて、参加者の皆さんと対面で実施できたことをとても嬉しく思っております。

 午前(9:30~12:00)の勉強会では、「自閉症スペクトラム症をどう説明しますか?」という問いかけから、セサミストリートのジュリアの動画を視聴しました。他の子どもにもわかるように、違いを大切にしながら自閉スペクトラム症の子どもの特徴を説明することの大切さに気付かされました。

 それから、自閉スペクトラム症を持つ人たちの、定型発達の人とは異なった行動の原因となる、学習スタイルの違いについて一つずつ説明がありました。中でも、自閉スペクトラム症の方の、一見反抗的な態度や、こだわりや物を壊すといった行動が、暗黙的な学習の困難さによる、状況が理解できないための不安から来ているというお話が印象的でした。支援の中で、「何度もやっているし、このくらいわかるでしょ」と、きちんと目に見える形で説明していないことがないだろうか、と自分をふりかえって背筋の伸びる思いでした。

 アンケートでは、「初めての研修だったのですが、とても理解しやすくわかりやすかったです。」「諏訪先生の講義を久しぶりに聞いてやっぱり学び続けることって大切だなぁと感じました。毎回気持ちが新たになり、明日からの支援に前向きな気持ちにもなりました。」などたくさんのご感想をいただき、勉強し始めの方も、自閉スペクトラム症の方との付き合いの長い方も、どちらも多くの学びを得ていただける時間となったことを嬉しく思っております。

 午後(13:30~15:30)のワークショップでは、自閉スペクトラム症の幼児さんの動画を見て、そこで見られる行動がどの学習スタイルに当てはまるかをグループごとに話し合いました。

 動画のお子さんのかわいらしさに顔をほころばせつつ、どのグループも話し合いの時間をいっぱいまで使って、真剣に行動観察と意見の共有がされていました。

 アンケートでも、「自分の思い込みで行動を解釈してしまっていることもあるなと普段の支援を振り返って思うことがありました。学習スタイルに基づいて考え、支援していけるように今日の学び、気付きを活かしていきたいと思います。」「行動を学習スタイルで整理すると、どうしてその行動が起こるのかが見えてくることを実感させられるワークショップでした。常に頭に入れて、その子の理解を深めたいと思いました。」など、参加者の方の、支援している方のことを熱く思う感想がたくさん寄せられました。


 諏訪先生、参加者の皆様、長い時間の研修となりましたが、本当にありがとうございました。

【勉強会担当】





2023年3月27日

【報告】3/21特別講演会&総会「自閉症・発達障害の人の権利擁護について」

 3月21日(火・祝)に、全水道会館にて特別講演会と定期総会を開催しました。コロナ禍でしばらくオンラインでの開催が続いていましたが、久しぶりの対面で参加された方々のお顔を見ながら実施することができました。

 講演会の講師は、毎日新聞記者を経て現在、植草学園大学の副学長でいらっしゃる野澤和弘先生です。「自閉症・発達障害の人の権利擁護について」というテーマでお話していただきました。知的障害のある自閉症の息子さんをお持ちの親としての立場と、新聞記者として様々な取材を続けてらした経験を踏まえたお話を伺うことができました。

 ご講演では、まず障害者の支援と虐待のお話をして頂きました。虐待をどう考え、見て見ぬふりをするのではなく、その小さな芽に気づくことが重要であるという事。一人の人間として認めるという事は、その人の「できる事」をを一つ一つ丁寧に認めていくことと、地域(社会)で生活し、そこでのポジティブな視線を受ける経験をしていくことであるというお話が印象的でした。

 支援する側としては「できないこと」を「できるようにする」ことがどうしても優先してしまいがちで、それが支援することと思ってしまいますができる事を認めるという事はその人のあるがままを受け止めるという事なんだなと「目から鱗」の思いでした。

 地域で共生していくには「学校教育」ではなく「福祉」ではないか?との先生の発言に教員を経験した方からの質問や感想も出されて講演は終了しました。

 対面での講演会、人と人との触れ合いを久しぶりに直に感じながら、先生の貴重なお話を聞く機会を持つことができました。 最後に「やっぱり、対面っていいなぁ」と、つい口に出てしまいました。【講演会担当】


なお、同日、TEACCHプログラム研究会東京支部2023年度定期総会が行われ、全ての議事が承認されましたことをご報告いたします。

改めまして、本年度もよろしくお願い申し上げます。【事務局】




2022年9月24日

【報告】2022年度定例勉強会3 『ASDの方の評価のポイント』

【報告】2022年度定例勉強会3
ASDの方の評価のポイントーようこそ新版K式の世界へー』

911日(日)南山城学園SVの澤月子先生に新版K式発達検査のご講演を頂きました。
午前中の講義は、旧版である「2001年式」の新版K式発達検査と最新版である「2020年版」新版K式発達検査の比較から、更新まで19年の年月を経て、実際に検査用紙の検査通過年齢の変化をご説明頂きながらここ約20年の「知能」や「発達」の捉え方が社会において変化してきていることをご説明頂きました。

 

先生のご説明では、インターネットやスマートホンの発達に伴い、昔に比べて「見る力」の平均発達年齢は早まっているのに対して、言葉の表現力や折り紙を折る等の手先の巧緻性の発達は生活習慣や経験の変化により遅くなっているそうです。昔に比べると「知識」があまり重視されなくなってきているのは、知識や情報についてはインターネットを検索すればいくらでも調べられるからで、現代においては「見て・推理して・応用する」力の方が「知能」の評価においては重視されてきているというご説明はとても説得力を感じました。

 

また、新しく追加された「相手の立場」から想像する「こころの理論」や模倣の力を見る「人形遊び」の項目,「覚える力」を見る「短文復唱」のお話を通じて、最近の動向として発達障害の概念の普及が社会で進んでいることも影響していることを改めて振り返ることができました。

 

各発達水準毎に使い分けられる検査用紙のご説明を通じて、幼児期から学童期,成人期までの発達の概要をご説明頂くことができ改めて「定型の発達」を知ることが、ASDの方の発達の特徴を知ることについて学ぶことができました。

 

個人的に印象深かったことは、冒頭に澤先生がお話された「支援者自身のアセスメント」という論点について、「発達年齢を正確に知ることは勿論大切だけれども、検査不通過であっても『当事者支援の手がかりを知る為に』どのような『手立ての工夫でその人ができた』か知る事,『できない時にどのような反応を見せるかを知っておくこと』が当事者を理解する上で一番大事」というご説明は、去年同じ「評価」でご講演を頂いた石川支部代表の笠合竜明先生のお話と重なる視点であり、「アセスメントの目的を見失わない」ことの大切さを振り返ることができました。

 

午後は貴重な検査場面の動画2例を通じて、新版K式発達検査を用いながら、それぞれの被験者の方の発達の特性を丁寧にご説明頂きました。

澤先生がそれぞれの被験者の方のつまづきを推測しながら、検査項目の順序を変えてみることで「注意移行の難しさ」「不注意の問題」「感覚刺激に逸れる反応の意味」など、インフォーマルな視点からの工夫で被験者の方の発達特性が浮彫りになっていく様子が大変分かり易かったです。

 

また、同時処理の苦手さはあっても継時処理を丁寧に行えることを「強み」として被験者にフィードバックするエピソードを通じて、午前中に思いだした「検査」「評価」することの目的や意味,「当事者に寄り添う」ことの意味について深い示唆を頂くことができました。

澤先生、一日を通じてご熱演ありがとうございました。

 

TEACCHプログラム研究会 東京支部   社福)正夢の会 パサージュいなぎ 堀内太郎

2022年8月2日

【報告】2022年度定例勉強会2『TEACCHファンダメンタルトレーニングのエッセンス〜スケジュール、ワークシステム、物理的構造化』

 


 718日(月)に定例勉強会②「TEACCHファンダメンタルトレーニングのエッセンス~スケジュール、ワークシステム、物理的構造化」をZoomで開催しました。TEACCHプログラム研究会東京支部前代表であり、帝京大学文学部 心理学科教授の黒田美保先生を講師にお迎えしました。ASD支援にかかせないスケジュールやワークシステム、物理的構造化の意味や背景を実際の教材や支援の様子を豊富に見せていただきながらお話しいただき、あっという間の2時間半でした。

ASDの方たちの文化や考え方にリスペクトをもち、行動観察やアセスメントに基づきながら、どうやって興味関心、強みをいかしていくのか。先生からの問いかけに参加されたみなさんがチャットで答えながらすすめていく形式でオンライン研修ながらも相互にやりとりしながら参加でき、新しい形の研修でした。

 午後は二つの架空事例をもとに、ジャムボードを使ってスケジュールとワークシステムを話し合いました。話し合いをもとに画面の上でスケジュールやワークシステムを作成し、イメージを共有することができました。ジャムボードを使ったワークは東京支部では初めてで、スタッフもまだ不慣れなこともあり、操作に時間がかかりご不便をおかけしてしまった場面もありましたが、これからのワークの可能性が広がりそうです。

 

 参加された方のアンケートよりご感想の一部をご紹介させていただきます。たくさんのご意見ご感想をありがとうございました。

 

〇「講義」アンケートより

・本などを読み、自分なりに構造化に取り組んできましたが、本日の先生のお話をお聞きしてずいぶん整理されました。

・教室の写真が多く具体的でした。新しい部分の説明があり、すっきりしました。

・こどもの視点に立って、スケジュールや自立課題の提示の仕方にも工夫がいると再認識することができました。

〇「ワーク」アンケートより

・本や講義だけではイメージできないことが、ワークだとイメージできた。他の人の意見を聞くことでアセスメントの参考にもなった。

・実例が成人と幼児に別れていて実践に近くありがたかった。

・オンラインでもここまで出来るのだなと実感できました。

 

今後は911日(日)に定例勉強会3「評価」~新版K式を活かしたASDの方の支援(仮)

TEACCHプログラム研究会会員の方を対象)、1113日(日)に定例勉強会4「コミュニケーション」を予定しています。詳細が決まりましたらブログやFacebookなどでお知らせしますので是非ご参加ください。

 

黒田先生、ご参加の皆様、ありがとうございました。