5月11日(日)、水道橋の全水道会館にて表題の勉強会を開催しました。今年度の東京支部の定例勉強会は、昨年度TEACCHプログラム研究会本部が企画した基礎講座の動画と支部で企画したワークショップを組み合わせ、設定したテーマについて学びを深めるという構成になっています。
第一回目の今回は、「ASDの特性と学習スタイル」というテーマで、午前中に会場で動画を視聴し、午後はグループに分かれてワークを行いました。動画は、TEACCHプログラム研究会会長・よこはま発達クリニックの院長である内山登紀夫先生のご講義で、TEACCHの成り立ちやミッション、コアバリューに始まり、学習スタイルの5つの項目(暗黙的な学習、聴覚情報の処理、注意、実行機能、社会性の認知)について、ASDの方がどんな苦手さや困難を抱えているか、そして、支援者がそれをどのように支えて補えばよいのか、具体的な例が挙げられていました。また、英国のASDの注意についての理論である、「モノトロピズム」や「アテンショントンネル」、「自閉的慣性」についてのお話も紹介され、ASDに特有の視野の狭さや切替えの苦手さ、ミスや中断に対する耐性の乏しさと介入に対する苦痛の感じやすさなどは、「良い・悪い」という捉え方ではなく「違い」として理解すること、そしてそれは、強みを活かし、困難をサポートするというニューロダイバーシティーの視点につながっていくことなど、とてもわかりやすく説明されていました。
午後は、よこはま発達クリニックの副院長であり、東京支部の代表である宇野洋太先生のワークでした。冒頭で、認知の特徴としての学習スタイルが、行動の特徴(特性)としてどのように現れるかについての講義があり、ウォーミングアップとして、様々な行動の例文を基に、その行動にどのような特性が影響しているのかをグループで意見交換していく、宇野先生おなじみの「千本ノック」のワークに取組みました。
その後は架空事例を用いて、氷山モデルのワークシートで行動の背景や改善案を話し合いました。このワークのポイントとして、ある特性だけで行動を捉えて性急に改善策や支援を当て込むのではなく、様々な特性から多面的に丁寧に行動を捉えていくことが重要であり、それによってその人に対する理解が立体的になり、どのような支援が必要なのか優先順位なども明らかになるため、支援者の視点が深まり課題が整理される、とのことでした。各グループごとに割り当てられた架空事例の行動に関して、様々な視点からとても活発にディスカッションが行われ、あっという間に二時間半が終了しました。
終了後のアンケートからは「一つひとつ整理することが大事だと感じた」、「自分と異なる他の方の意見をたくさん聞くことができて視野が広がった」などのご意見をたくさん頂き、参加者の方の多くが「大変満足」と回答されていました。宇野先生、ご参加頂いたみなさま、ありがとうございました。
次回の定例勉強会②は、6月29日(日)、テーマは「アセスメント」です。みなさまのご参加をお待ちしております。
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(担当:御木)