2026年8月3日

【報告】2026度定例勉強会2「評価から考える構造化」黒田美保先生

【報告】2026度定例勉強会2

令和882日、田園調布学園大学教授であり、TEACCHプログラム研究会常任理事でもあります、黒田先生を講師にお迎えし、

「評価から考える構造化~多様性のあるASD当事者のバリアフリーについて~」

をテーマとした定例勉強会を開催しました。

定例勉強会では、ASD(自閉スペクトラム症)のある方への支援に欠かせない「構造化」について、アセスメントとの関連を中心に学びました。講義とグループワークを通して、一人ひとりの特性に応じた支援を考える視点を深める機会となりました。

 

午前の講義では、ASDの認知特性を踏まえた構造化支援の基本的な考え方について学びました。

構造化は単に環境を整えることではなく、「見通しを持つことが難しい」「言葉よりも視覚的な情報の方が理解しやすい」といった特性を補い、不安や混乱を軽減しながら、自立を支えるための支援であることを理解しました。

また、構造化の4つの要素である「物理的構造化」「スケジュール」「ワークシステム」「視覚的支援」について、それぞれの役割や具体的な実践方法を学びました。

特に、構造化には決まった正解があるわけではなく、本人の認知特性や学習スタイル、興味・関心、発達段階などを丁寧にアセスメントした上で、一人ひとりに合わせて支援を組み立てることの重要性が強調されました。

 

午後のグループワークでは、架空事例のアセスメント結果をもとに、具体的な構造化支援を検討しました。

参加者はグループごとに、スケジュールの提示方法や設置場所、活動終了後の処理方法、ワークシステムの構成、自立課題の内容などについて話し合い、それぞれの支援案を作成しました。

検討では、架空事例の対象者は「数字が好き」「電車への興味が強い」といった強みを活かしながら、写真やイラストを用いた視覚支援、ポケットマッチングによる活動の整理、電車を活用した予定変更の伝え方など、多くの実践的なアイデアが共有されました。

また、「変更」「追加」「中止」といった予定の変化にも対応できるよう支援を工夫することで、構造化の目的は単にルールを守ることではなく、自立と柔軟性の両立を支えることにあると学びました。

 

今回の研修を通して、構造化支援は決められた方法を当てはめるものではなく、アセスメントを基に本人の特性や強み、理解しやすい方法を把握し、一人ひとりに合わせて支援を組み立てることが重要であると学びました。

また、安心して活動できる環境を整えることが、自立した行動や主体的な活動につながることを改めて認識しました。

今回得た学びを今後の支援に活かし、利用者一人ひとりに寄り添った支援の実践につなげていきたいと思います。

最後に、ご多忙の中、豊富な実践経験と最新の知見を交えながらご講義いただいた黒田先生に心より感謝申し上げます。

また、積極的に討議や演習に参加してくださった皆さまにも御礼申し上げます。

今回の学びを今後の支援に活かし、より良い支援の実践につなげてまいります。




2026年6月9日

8/2(日)定例勉強会2「評価から考える構造化」黒田美保先生


TEACCHプログラム研究会東京支部 2026年度定例勉強会2

「評価から考える構造化~多様性のあるASD当事者のバリアフリーについて~」


TEACCHプログラム研究会東京支部では、自閉スペクトラム症の理解と支援を学ぶ勉強会を行っています。

今年度は、「評価から考える〇〇」をテーマに勉強会を企画しました。

第2回は、黒田美保先生による「評価から考える構造化」です。

午前は講義、午後は講義をふまえた少人数のグループワークを行います。

今回は、講義部分の後日配信を行うことになりました。遠方の方や当日ご都合の悪い方は後日配信にてぞご参加ください。


🍀講師よりひとこと

ASDのかた1人ひとりの「個別性」に合わせて、環境から求められていることを理解し、能動的に生活できるための枠組みとして、TEACCH部では長年「構造化された支援(Structured TEACCHing)」を大切にしてきました。
本勉強会では、評価に基づく1人ひとりの強みや配慮点をふまえて、午前は「構造化」の基礎講座、午後は現場での支援に活用できるよう、「個別の評価」から「構造化」の組み立て方について、簡単なワークを行います。 


▼講師 

黒田 美保 先生(田園調布学園大学教授)

--講師プロフィール--

学位:博士(医学)東京大学、博士(学術)千葉大学
資格:公認心理師、臨床心理士、臨床発達心理士
職歴:大田区公務員(心理職)、ノースカロライナ大学医学部インターン、国立精神神経医療研究センター研究員、東京大学大学院教育学研究科客員教授、福島大学特任教授、名古屋学芸大学教授、帝京大学教授等を経て現職。
役職:日本公認心理師協会常務理事、日本公認心理師会子どもの発達支援委員会委員長、日本心理臨床学会代議員、日本スクールカウンセリング推進協議会理事、東京都特別支援教育推進委員会委員、東京都通級等判定委員会委員など


▼日時 

2026年8月2日(日)
講義  10:00~12:00(受付開始9:40~)
ワーク 13:00~15:30 

※講義部分は3週間程度の後日配信を行います。リアルタイム配信はありません

 

▼会場 

きゅりあん(品川区立総合区民会館)5階 第2講習室

JR京浜東北線・東急大井町線・りんかい線 大井町駅 徒歩約2分

アクセス(きゅりあんHP)


▼参加費

A)講義&ワーク(会場参加・後日配信つき):会員(全支部)2000円/非会員4000円

B)講義のみ(後日配信):会員(全支部)1000円/非会員2000円

 

▼定員

講義&ワーク(会場参加・後日配信つき):20名

講義のみ(後日配信):無制限 


▼参加方法

  • peatixにてチケットをご購入ください。
  • 購入後、peatixよりメールが自動配信されますのでご確認ください。
  • 会場参加の方には、2日前までに資料をお送りします。各自プリントアウトしてご持参ください。
  • 後日配信は準備が整い次第ご案内します。

2026年5月20日

【報告】2026年度定例勉強会1「評価から考えるASDの支援」

 【2026年度第1回定例勉強会報告】

 気持ち良い青空が広がった5月10日、2026年度最初の定例勉強会「評価から考える自閉症の支援」が、銀座の東京都中小企業会館にて行われました。
 講師は自閉症スペクトラムを持つ方々への支援を長きにわたり続けられている、よこはま発達クリニック副院長であり、TEACCHプログラム研究会東京部の代表でもある宇野洋太先生です。
 午前中に、ASDを持つ人々の情報の受け取り方や捉え方(脳機能のシステムや働き方の違い)について、またその結果、どういった行動がみられやすいかについて学びました。
 午後はその講義をベースに、その表面に見えている行動には、どんな背景要因が考えられるのかを丁寧に考える練習を少人数のグループワークで実践しました。
 毎年、定例勉強会として同じテーマを学びますが、今回も気づきがありました。いつも使用している聞き慣れた言葉、例えば「構造化された環境」というのは、単にパーテーションやスケジュールを作るということではなく、「ASDをお持ちのそのご本人にとって、情報をわかりやすく受け取る環境のこと」だということや、「知識として知っているということは、かならずしも理解していることにはならず、その知識を自分のものとして実際の支援に使うことができて、初めて理解していることになる」という宇野先生のお言葉がとても印象に残り、自閉症の方々への支援をなんとなくわかったつもりになっていたなと自身を振り返って考える機会となりました。また、「相手に何かを届ける時には、相手の受け取りやすい方法や受け取りたい中身を考える。ASDの方に何かを伝える時も同じで、その方にとって伝わりやすい方法は何か、知りたい内容は何かを考える。その方がどんな方かを知ることに加えて、自閉症の方々は自閉症の方々らしい特性があるので、我々はその特性を学び、特性から考えることが大切」という宇野先生のお話に、支援とは何か、その深さと意味を今も改めて考え続けています。
 体験談など、実例を交えた宇野先生のお話はわかりやすく、終了後のアンケートでも「問題行動に対するアセスメント、イマジネーションに対する支援の視点・注意点など、わかっているようでわかっていないことが、演習を通じて再認識できました」「自閉症を理解するということはどういうことなのか、改めて学習できました」などの感想をいただきました。
 参加された皆さま、宇野先生、ありがとうございました。