【定例勉強会③のご報告】
9月1日、水道橋の全水道会館にて、田園調布学園大学人間科学部心理学科の黒田美保先生を講師にお招きし、定例勉強会③「幼児期のコミュニケーションの育て方~アセスメントと支援~」を開催しました。
台風10号の接近中ということもあり、お天気や交通機関の状況が気になる中での開催でしたが、熱心な参加者の方々にお集まり頂き、無事に実施することができました。
自閉スペクトラム症の幼児への早期支援は、社会性の発達の促進や二次障害の予防、社会適応の改善からのQOL向上、セルフアドボカシ―につながり、結果としてご家族の心理的負担軽減、メンタルヘルスの向上にも大きく関与することが多くの研究から明らかになっているとのことです。また、社会性を育むためには、幼児期の遊びの中での共同注意・要求・情緒的相互性、アイコンタクト、模倣やふり遊びに着目しながら支援を組み立てることが重要であり、特に共同注意の成立は幼児期以降の言葉の発達にもつながっていく、ということでした。
午前の講義では、早期支援方法の「PRTⓇ」や「DTT」、「ESDM」、「JASPER」についての紹介や違いが取り上げられ、特に黒田先生が翻訳に携わっていらっしゃる「JASPER」については、手法に加え、その中で開発されたアセスメント方法「SPACE」について詳しくご講義頂きました。また、講義の終盤には架空事例を用いて、ワークシートの記入例を基にしながら、目標の選定や支援方法について確認しました。
午後は、実際に「SPACE」を用いたアセスメントの様子の動画を観ながら、午前で紹介されたワークシートを用いて、個人で行動の特徴を整理しました。その後、近くの席の方と二人一組になり、意見交換しながら目標の選定や具体的な支援を考えました。さらにそこから、別のワークシートを用いて本人のスキルや興味関心にあった基盤の遊びを取り上げ、社会性を引き出すためにその遊びをどのように発展させるかを話し合い、いくつかのグループに発表して頂きました。
講義の中では、観ていると思わず笑顔になってしまうような、かわいらしいお子さんのセッション動画がたくさん紹介されており、セッションを重ねていく中で、お子さんが変化していく様子がしっかり確認できました。黒田先生のお話しやワークを通じて、注目すべき行動のポイントや、支援についての考え方を知り、その子どもの好きなことや特性を尊重しながら、さりげなく自然な形で社会性やコミュニケーションを育んでいくことの大切さを学ぶことができました。
終了後、参加者の方々からご感想を頂きましたので、この場でいくつかご紹介いたします。
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「訪問セラピーの中でDTTを中心にお子さんと遊ぶ時間もあり、なるべくPRTのような形でセラピーを進められないか考えていましたが、なかなか遊びが広げにくく苦戦しておりました。今日のSPACEのアセスメントは大変勉強になりました」
「言葉を獲得する前の段階で、遊びが大切だということを知ることができて、大変良かったです」
「曖昧になりやすい社会性の育ちを捉える視点を学ぶことができました」
「保育現場で活かせることがたくさんありました。自分の中で整理して実践してみたいと思います」
「JASPERの勉強会があまりないため、貴重なお話しを伺うことができ、大変勉強になりました。ビデオを見ながら先生がわかりやすく解説して下さったので、理解が深まりました。」
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他にも多数、「明日から現場に活かしたい」、「あまりないテーマで学びを得ることができた」、などのご感想や気づきを頂いております。
黒田先生、ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。
次回の定例勉強会④は12月7日です。またのご参加お待ちしております。