定例勉強会① 自閉症スペクトラムの特性理解 報告
5月15日(日)に2022年度定例勉強会①「自閉症スペクトラムの特性理解」をZoomで開催しました。長く自閉症スペクトラムの方への支援・研究を続けていらっしゃり、現在TEACCH研究会東京支部の会長でもある、よこはま発達クリニック副院長 宇野洋太先生に、昨年に続いてお話をしていただきました。
午前の講義では、iPhoneとAndroidが違うように、自閉症スペクトラムの脳と定型発達の脳にも質的な違いがあり、その違いに優劣はつけられないというお話から、自閉症スペクトラムの方の認知特性について一つ一つご説明いただきました。
午後のワークは、これまで先生が福祉施設で相談を受けてきた、自閉症スペクトラムの方の様々な行動の裏側にはどんな特性が関係しているのかをグループで考える「特性1000本ノック」と、架空事例をもとに氷山モデルを埋めていき、どんな改善方法・工夫が考えられるかをメンバーで話し合う「演習 実践編」の2本立てでした。
特に、先生が福祉施設で多く質問を受けるという「社会的想像力」が、どのような形で自閉症スペクトラムの方の行動に現れるのかに的を絞ったワークとなりました。一見異なる行動に見えても、その行動の背景にある特性は同一の場合があること、その解釈・見立てがずれると支援が届かず、時によってはもっと当事者を苦しめることがあるという先生のお話が印象的でした。
zoomのブレイクアウトルームを使ってのグループワークでは、限られた時間の中で、様々なお立場やご経験を持つ参加者それぞれから積極的な意見交換がされていました。
今回のグループワークには、お馴染みの氷山モデルワークシートに加え、「彼ら(自閉症スペクトラムの方々)の行動を理解するためのアイテム」として、背景要因(特性・環境)がピックアップされたフレームが導入されました。これにより、より「彼らからブレない」意見交換がしやすくなっていたように思います。また、午前の講義でも重点的に分かりやすく説明して頂いた社会的想像力(イマジネーション)の視点についても、それぞれに気づきをシェアすることが出来たのではないでしょうか。限られた情報でも、ひとつの課題行動について、フレームや氷山モデルワークシートを活用した意見交換により、自身では気づけなかった視点を得ながらも、彼らからブレることなく、こんなにも支援を拡げていけるものだと垣間見ることが出来ました。現場でのコミュニケーションにも、今回のフレームと氷山モデルワークシートを積極的に活用していきたいと思いました。
今回も参加者の皆さまから、多くの気づきと学びの感想を頂きましたので、アンケートの中から一部ご紹介致します。たくさんのご意見ありがとうございました。
次回は7月18日に定例勉強会②を予定しております。
現在申し込み受付中です。皆様のご参加をお待ちしています。
○「講義」アンケートより
・基礎講座とはいえ大変濃い(濃すぎる?)内容で、基礎に始まり基礎に回帰することの重みを再認識いたしました。ありがとうございました。
・自閉症スペクトラムの特性と支援について、とてもわかりやすく教えていただきました。脳のタイプ、情報処理システムの違いという大切な前提を心に留めて、支援の見直しや今後のプランを考えていきたいと思います。
・当事者の家族にも、分かりやすい内容で日々の生活やサポートへ役立てていきたいなと思います。
○「ワーク」アンケートより
・感覚でやるのではなく、きちんとワークシートに落とし込み、多角的に考えることの大切さを再認識しました。
・特性、要因、背景についての考え方が正直、勉強不足、経験不足で自分は何も発言することができませんでしたが、他の方の話を聞いていると気づける部分で自分の利用者がパニックになる要因でデータを取るなど、できることややってみようと意識変化ではありませんがやってみようと思えました。
宇野先生、ご参加の皆さま、ありがとうございました。