自閉症・発達障害の人を案じる
児童精神科医 佐々木正美(東京都町田市 75)
この度の大震災の報に接した当初から、自閉症・発達障害の人々のことが頭から離れません。予期せぬ出来事に対する恐れや混乱が、私達の想像を超えて大きい人たちだからです。
数日前、被災地の人々とやっと電話がつながりました。自閉症児などのご家族は、22日の朝刊で報じられた通り、周囲に迷惑をかけることを気にかけ、つい叱ることもあるようです。しかし、注意するのにも「してはいけない」と否定的にではなく「こうしたらいいよ」と肯定的に伝えるよう心がけてください。
また、見て確かめることができない事柄には不安や混乱が大きい人達ですから、言葉はできるだけ短く、一度に一つのことを具体的に伝えるよう心がけてください。できれば言葉よりも絵や文字の方が意味を伝えやすいことも知ってください。混乱が大きい時には部屋の隅をついたてで仕切るなどして、隔離でなく保護をしてほしいです。
※朝日新聞社から掲載許可取得済み